黄昏に香る音色 2
ダブルケイに行く途中に、左に曲がる道がある。

その道を行くと、すぐに公園があった。

もう夕方…誰もいない公園のベンチに、二人は腰掛ける。

「もう…何年も前だけど…。ぼくの両親が亡くなって、すぐぐらいに、あなたの歌を、聴いたことがある」

「あたしの歌…」

直樹は頷く。

「おばあちゃんが…連れていってくれたんだ…。ダブルケイに」

夕焼けが、沈みかけてる。最後の輝きが、ダブルケイを一層照らしていた。

「夜じゃなくて…昼間…発表会か、何かだった…」




もう遠い昔。

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