黄昏に香る音色 2
明日香は少し、困り果てた。

才能があり、負けん気も強いが、プライドも高い志乃…。

歌手としてはいいけど…

まだ小学六年生。

友達ができるかしら…。

明日香の心配なんて、関係ない風の志乃。

「あたしが、歌わなくても…香里奈ちゃんが、いるじゃない!手本なら、香里奈ちゃんで十分!」

志乃は、ジュースを飲み干した。

明日香はため息をつき、

「それが、さっきからいないのよ」

ステージには、また新しい子供が上がる。

直樹は席を立った。

「ちょっと外にでる」

子供たちの歌に、夢中で手を叩いている祖母に告げると、直樹は外に出た。

「おトイレ?」

祖母の言葉に頷いた。

扉を閉め、直樹は歩きだした。

確か近くに、公園があったはず。

直樹は坂を降りた。

駅の手前で右に曲がると、すぐに公園があった。

誰もいないと思っていたけど、

ブランコを思いっきり、天に届くくらいにこいでいる男の子…

がいた。

ブランコから勢いよく、飛び降りた…その姿は。

風になびき、太陽に照らされて…

とっても綺麗だった。

(男の子じゃないや…)

それが、直樹と香里奈の出会いだった。

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