黄昏に香る音色 2
里美は、香里奈の頭を小突いた。

「痛っ!何するのよ!おばさん」

「それと、あたしは、おばさんじゃない!お姉さんと呼びなさい」

「無理あるよ…」

ぼそっと呟いた言葉を、里美は聞き逃さない。

「何?」

「綺麗だなっと…里美お姉さん」

愛想笑いを浮かべる香里奈に、里美は頷き、

「分かればいい」

香里奈の腕を掴み、ダブルケイに向かって引っ張っていく。

香里奈は、直樹の方を振り返った。

「今から歌うから、見に来て!絶対、元気になるから」

直樹は、大きく頷いた。

とても笑顔で。

「やればできるじゃん」

香里奈は、直樹に微笑んだ。

直樹も、香里奈の後を追った。

歌を聴く為に。

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