黄昏に香る音色 2
手すりに、もたれながら、和也は、ぐいっとワインを飲んだ。

「何も言わないが…俺のためだ…そういうやつなんだよ。あいつは」

「そうね…」

里緒菜は、遠くの方を見つめた。

「心の整理がつかないか…」

和也もまた、里緒菜と同じ方向を見た。

「え?」

里緒菜は、和也の方を向いた。

「親友だものな…」

和也は、手すりにもたれるのをやめた。

「だけど…避けるのはよくないぜ」

里緒菜は、和也の言葉の意味を理解した。

「わかってるわ」

「だったら…これ以上は、俺が、口をはさむものじゃないな」

和也が、テラスから離れようとした。

その時、

人々から歓声がわいた。

和也と里緒菜は、声がした方を見た。

「あれは…天城志乃!?」

会場にいきなり、現れたのは、歌姫、天城志乃だった。



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