黄昏に香る音色 2
何もない殺風景な室内。

それが、時祭財団の会長室だった。

机と来客用のソファ…。

それぐらいしかなかった。

高層ビルの最上階。

時祭会長は、後ろ手で窓際に立ち、街並みを見下ろしていた。

ドアがノックされた。

「会長。お客様をお連れしました」

「入って貰え」

秘書に促されて、会長室に入ってきた女。

会長は、振り返らず、

「久しぶりだな…明日香」

「こうして…2人で会うのは、初めてかもしれません」

明日香は、会長の背中に、軽く頭を下げた。

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