黄昏に香る音色 2
「何年ぶりかな…」
会長は少し間を置くと、ゆっくりと振り向いた。
明日香と目が合う。
「まあ…座れ」
明日香は、会長に促されてソファに座る。
「母さんのお葬式にも、顔をだしてくれませんでしたから…もう記憶にはないですね」
会長もソファに座り、
「仕方があるまい…私は忙しいし、出席できる身分でもないしな」
明日香は、久々に見る父親の顔を見据えた。
「そうでしたね。あなたには、関係のないことでしたね」
会長はフッと笑うと、明日香をまじまじと見つめた。
「…で、何の用だ?お前から、俺に会いに来るとは…余程のことがないかぎり、あるまいて」
明日香は、膝に置いた手を握り締め、
「店に来ましたね。ダブルケイに」
「記憶にないな」
「とぼけても無駄です!あたしと…香里奈を訪ねて」
会長は立ち上がり、
「娘と孫を訪ねて、何が悪い」
会長は、窓まで歩いていく。
「あなたこそ…理由もなく、会いに来るはずがないわ」
明日香は、窓から外を眺める父親の後ろ姿を、睨む。
「あなたは、あたしと母さんを捨てたはずです。何を今更」
会長は苦笑する。
「お前たちは捨てたよ。確かにな…」
会長は、ギロリと明日香を見ると、
「だが、孫は必要なのだよ」
会長は少し間を置くと、ゆっくりと振り向いた。
明日香と目が合う。
「まあ…座れ」
明日香は、会長に促されてソファに座る。
「母さんのお葬式にも、顔をだしてくれませんでしたから…もう記憶にはないですね」
会長もソファに座り、
「仕方があるまい…私は忙しいし、出席できる身分でもないしな」
明日香は、久々に見る父親の顔を見据えた。
「そうでしたね。あなたには、関係のないことでしたね」
会長はフッと笑うと、明日香をまじまじと見つめた。
「…で、何の用だ?お前から、俺に会いに来るとは…余程のことがないかぎり、あるまいて」
明日香は、膝に置いた手を握り締め、
「店に来ましたね。ダブルケイに」
「記憶にないな」
「とぼけても無駄です!あたしと…香里奈を訪ねて」
会長は立ち上がり、
「娘と孫を訪ねて、何が悪い」
会長は、窓まで歩いていく。
「あなたこそ…理由もなく、会いに来るはずがないわ」
明日香は、窓から外を眺める父親の後ろ姿を、睨む。
「あなたは、あたしと母さんを捨てたはずです。何を今更」
会長は苦笑する。
「お前たちは捨てたよ。確かにな…」
会長は、ギロリと明日香を見ると、
「だが、孫は必要なのだよ」