黄昏に香る音色 2
「お前の母親と別れ、何人かの女と結婚したが…子供は、できなかった」

会長は振り返り、

「明日香。お前だけが、私の子供だ」

会長は、部屋の中を歩き出す。

「跡取りにする為、親族から選ぼうとしたが…やはり、私の血を引いた、私の血筋からほしい!」

会長は、明日香に迫り、

「お前は、私を憎んでいる!だから…孫の香里奈が、ほしい」

「何を都合がいいことを!」

「お前がなぜ、世界的に成功しているか、わかるか?」

会長は、手を天に広げ、

「血だよ!時祭の血だ!お前の体に流れてる半分は、私の血だ!例え半分が、薄汚れた下賤の血であってもな」

明日香は、父親を睨みつけた。

「母さんのことを!」

「だから、別れた!私とは身分がちがうからな」

「あなたに、あたしの子供たちを渡すつもりはありません」

明日香は、外に出ていこうとする。

「あたしの子供たちだと!?何を寝ぼけたことを!私が、知らないとでも思っているのか」

明日香はドアのノブを握ったまま、

硬直した。

「私の孫は、香里奈1人!お前が連れている…何だったかな…ああ、和恵だな。あれは、お前の子供ではないだろ」

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