黄昏に香る音色 2
明日香は、会長室をでて、廊下を真っ直ぐ歩き、突き当たりにあるエレベーターを待つ。

エレベーターの扉が開き、

中から、和也が出て来た。


明日香は道を開け、和也とすれ違う。

エレベーターのドアが閉まる瞬間、和也は振り返った。

「あの人は…」




エレベーターで、一階に降りた明日香は、そのまま和恵が待つフロントへと向かう。


明日香の足が止まった。

ソファに座って、楽しそうに話す和恵。

そのそばにいるのは、

天城志乃だった。

和恵が、明日香に気付き、手を振った。

志乃が、明日香の方を見る。

目が合う二人。

志乃は、頭を下げると、
ゆっくりと近づいて来る。

「お久しぶりです。先生」

志乃は、満面の笑みを浮かべている。

しかし、

その笑みは、綺麗なバラの如く、

棘があった。


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