黄昏に香る音色 2
「光太郎さん!」

千春が駆け寄る。

「大丈夫でしたか?心配してました…」

光太郎の胸に飛び込む。

しかし、

光太郎は、抱き締めてくれない。

「ああ…大丈夫…」

光太郎は少し、後ずさる。

そんな光太郎に驚き、

光太郎の目を見る千春。

光太郎は、目をそらした。
「ああ…ご、ごめん」

光太郎は、千春たちから離れた。

「光太郎さん…」

光太郎は、窓際まで下がり、千春たちに背を向けた。
「千春…」

光太郎は鼻の頭をかき、深く息をすると、

「俺たちは…まだ正式に、籍をいれていないよな…」

千春はもう理解した。

明日香に聞かせたくたいのか…

千春は、光太郎から背を向け、明日香をあやす。

千春に、やさしく体を叩いて貰うと、

慣れないところまで来て疲れてたのか…明日香は、すぐに寝てしまった。

千春は、明日香が寝たのを確認すると、光太郎に言った。

「何がありました…この2週間」

千春は、振り向いた。

光太郎は言葉がでない。

千春は、光太郎の正面を向いた。

「あたしと、明日香を忘れるくらいの…何がありました」

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