残り香
level1
ーフワッ
(あ、湊さんの匂い。)
思い出しちゃうじゃん。馬鹿だなぁ。
~
数日前、待ち合わせ場所に5分前に着いた。
相手の電車が少し遅れているらしい。
(緊張するな・・・変じゃないかな?)
ショーウィンドウに映った姿をチェックする。
ブブッ。
『着いたよ!』
あたりを見渡す。改札付近に見覚えのある顔。
「あの、湊さん!どうも!」
「友理香ちゃん、どうも!」
どこに行こうか?そう言う彼の後をついて行く。
彼、湊さんはアルバイト先で知り合った。
働き場所は同じだが、店舗は違う。
連絡先を交換したのも、共通の人を通じてだった。
まさか、こんなすぐにデートするとは思ってなかったけど。
-カラン。いらっしゃいませ〜
「2名様ですか?」「はい、2名で」
「禁煙席と喫煙席が御座いますが」
「喫煙で、お願いします」
湊さんは、手際よく応えた。
メニューを決めるのも、私はあまりお腹が空いてなかった。
セットメニューを頼むらしく、私にはデザートをくれた。
(なんか、慣れてるな〜)
そこでは、30分程滞在した。食事をして、お喋りして。
次に歩いて、大きなショッピングモールや小さな遊園地がある建物に向かった。
歩きながらの、お喋りはとても苦ではなかった。
「でさ、俺の弟がさ〜・・・」意外だった。
彼は良く喋る。