天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
絶叫は、悲鳴から……炎に変わった。

自らの体さえ…燃やし尽くすように、激しく燃え上がる炎は、綾子を真の魔神へと変えた。


「フン。兄と同じ…属性か」

バイラは目を細め、綾子を見つめた。

「バイラ…」

サラが、バイラのそばにやってきた。

「なぜ…覚醒させました?」

サラの問いに、バイラはまた鼻を鳴らすと、サラに笑い掛け、

「ここまで、やらないと…殺さないだろ?」 

その言葉に、サラはバイラを凝視した後、頭を下げた。

「仰せのままに…」


「ギラ!」

バイラは、状況を静観していたギラに目をやった。

ギラは頷いた。

「ここは、我らの世界ではない!気兼ねなくできるわ」


バイラの後ろの左右に、サラとギラが立つ。

「サラ…お前が、ベースとなれ」

「は!」

バイラの言葉に、サラは頷いた。

すると、後ろにいたギラとサラが、バイラの後ろから重なる。

まるで乗り移るように…。

すると、バイラの三本の角が、さらに三本増えた。

バイラは顔を伏せ、唇を歪めた。

そして、顔を上げたときには、サラになっていた。



「くそ!」

綾子は、炎で体を燃やしながら、サラに飛び掛かってきた。


「…」

サラはちらりと、横目で綾子を見ると、指を一本立てた。

すると、落雷が、綾子に落ちた。

直撃を食らった綾子は、さらに燃え上がった。

「メルトダウンが、始まっているな…。魔力の崩壊と…安定…」

サラは冷静に、綾子の状態を観察した。


燃え上がっていた炎が、いきなり消えると…綾子は、その場に崩れ落ちた。

両手を地面につけ、激しく息をする綾子。

見た目は、落ち着いたように見えるが…綾子の体の中には、赤く燃え続ける炎の塊が、できていた。


「熱い…」

綾子は、汗だくになっていた。額から流れる汗が、地面を濡らした。

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