天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
僕は明菜に、拳を突き出した。

「僕は…もっと強くなる。すべてを守れるように…。後悔しないように」

そして、拳に力を込めた。

「例え…ブルーワルードにいても…この世界に、何かあれば、助けにくる!必ず!」

真剣な瞳が、浩一の意志の強さを示していた。


「僕は、この世界を見捨てた訳ではないよ」

僕は拳を下ろすと、明菜に笑いかけ、

この世界から、飛び立とうとした。


「待って!」

明菜は、僕が張った結界を素手で、切り裂いた。

そのことに、僕は少し驚いたが、

それよりも…次の明菜の言葉に、目を丸くした。


「会いたい!こうちゃんの好きな人に、会いたい!」

明菜は、暑さを忘れたように、僕に近づき、

「いるんでしょ!そばに!」

大声で叫んだ。

「え?……でも、しかし…」

戸惑う僕に、ピアスから声がした。

「あたしは…いいぞ」


僕は、明菜の目を見つめた。

明菜は言いだしたら、きかない。

昔から、そうだ。

僕は肩をすくめ、

「モード・チェンジ」




指輪から、光が溢れ…その光の中から……アルテミアが現れた。


アルテミアの姿を見た瞬間、明菜は絶句した。

噂は知っていた。ブロンドの女神……。

だけど、アルテミアの容姿は、想像をぶっちぎりで、超えていた。

ハリウッドスターにも、ここまではいない。

美奈子が立ち上げた劇団に、アルテミアが変装して、潜り込んだ時…会っていたはずだが…あの時は、黒髪だったし…雰囲気も違った。


言葉を発せられない明菜と、妙に緊張しているアルテミア。

二人は、互いに無言で、見つめあう。



明菜は、唾を飲み込むと…拳を握り締め、全身に気合いをいれた。


アルテミアに変わったからか…暑さはなくなった。

明菜は、つかつかとアルテミアに近づいていく。


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