天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
幾多の幸せ。

一部のスターと言われる…スポットライトの当たった派手な生活と……

一般の地味な生活。


人は、地味より…派手を選ぶだろう。

スターといわれ…ちゃほやされたいだろう。


人の価値とは、何か。


生きるとは…何か。


女にモテ…金があり……贅沢な暮らしをすることなのだろうか。


(いや、違う)



本田有利は、何もない砂漠を歩きながら…考えていた。

錯乱状態になったら…種の保存とかいって…女を求めただろうが……今は、


女より、水。

水より、命だった。


(この世界は……何だ?)


本田は、つい…この間までの…ことを思い出していた。


「砂漠……」

位置関係がわからなかった。


(俺は…死んだはずだ…)




日本は、本土決戦を迎える前に、無駄に命を消費した。


神風。

いいように体裁を繕った言葉は……人に、死ぬ理由を与えた。


(愛する人の為に…)


ねえ…あなた…。

そこのあなた……。

愛が説明できる? 


愛が…わかる。





わからない。

死んでも…死んでも。



「うおおおっ!」

本田は、咆哮した。



何もない砂漠の先に………一人の学生服の男が立っていた。

掘の深い顔に、眉毛が…真っすぐで、凛々しく見えた。

本田は、学生服に向かって叫んだ。


「雷(ライ)!雷じゃないか!」

雷と呼ばれた男は、本田をちらりと見た。

「雷…空牙!」

あり得ない名前だった。 

「本田…」

空牙は、悲しそうな顔をした。

「ここは…どこなんだ?」

本田の言葉に、空牙はフッと笑った。

「……?」

その笑いが、本田にはわからない。

空牙に、近づいていく。砂に足をとられているが、関係ない。

「雷!」

空牙は、空を見上げ、

「できれば…帰って欲しかった…」

空牙の目から、涙が流れた。


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