天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「詳しい話は、この場を離れてからしょう」

オープンカーに似ている乗り物のドアに手をかけると、ロバートはドアを開けることなく、

ひょいと中に乗り込んだ。

「さあ、赤星君。行こうか」

ロバートは、実世界の車のキーを差し込むところに、カードを差し込んだ。

「…」

僕は…車の前で、無言で立ち竦んでしまう。

「赤星君?」

車を出そうとしたロバートは、運転席から僕を見た。

「どうかしたのかい?」

ロバートの質問に、僕は自分でも戸惑いながら、言葉が出なかった。

「ぼ、僕は…」

口ごもる僕に、ロバートは軽くため息をついた。

「こわいのかい?」

「いえ」

自分でも驚くぐらいに、それは否定した。

「じゃあ…」

ロバートは、何か言おうとしたけど、遠くからサイレンが聞こえてきたので、言葉を止めた。

警察が近づいている。

ロバートは、僕の目の中をじっと見つめた。

僕も、目をそらさない。

「そうか…」

ロバートはフッと笑うと、

すぐに笑顔になった。

「じゃあ、今は…」

ロバートは、僕に手を差し出した。

「前だけ、進めばいい」

ロバートの言葉に、僕は頷いた。

そして、差し出された手を、握り返した。
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