天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
傘を差し、出ていくお客を見送ったマスターは、誰もいなくなった店内に入ったはずだった。
「え」
少し素っ頓狂な声を上げた後、すぐにマスターは笑顔になり、
「いらっしゃいませ」
と頭を下げた。
どこから入ったか…わからない学生服の男の子が、立っていた。
「俺を見ても驚かないとは…。あんた…やはり、人間じゃないな。魔か?」
六席のカウンター。四人掛けのテーブル席が、二つ。
決して広いとはいえない店内の真ん中に、空牙は立っていた。
「魔……?それは、どういう意味でしょうか…」
マスターは、空牙の横を通ると、カウンターの席を引き、座るように促した。
「フン」
空牙は鼻を鳴らすと、カウンター席に座った。
マスターは、カウンター内に入り、
「ご注文は?」
空牙にきいた。
空牙はカウンターで、右腕を置くと、
「コーヒーを。多分、それが…この店の売りだろ?」
カウンター内は、少し高くなっているのか…大きく見えるマスターを見上げ、微笑んだ。
「なぜなら、一番匂いがいい…」
「ほお〜それはそれは…ありがとうございます」
マスターは、軽く頭を下げた。
コーヒーを入れる用意をしだすマスターに、空牙は言葉を続けた。
「だから…わかるんだ」
空牙は、口元に笑みを浮かべながら、マスターの瞳の奥を覗いた。
「この世界の魔は、人と交ざりあってるからなのか…あまり匂いがしない。だけど…あんたからは、周りよりも強い匂いを感じた…」
「そうですか…」
マスターは、コーヒーを入れることに集中していたからか…空牙の視線をまともに、見ていなかった。
コーヒーを入れ終え、空牙の前に置く時、マスターはその視線の鋭さに気付き、
思わず動けなくなった。
「あなたは……」
マスターは、絶句した。
空牙から漂う雰囲気に、マスターは、今まで会ったどんな者よりも、圧倒的な力を感じた。
「あなたは…何者ですか?」
空牙は、前に置かれたカップを手に取った。
匂いを楽しむと、ゆっくりとコーヒーを飲む。
そして、空牙はマスターに微笑んだ。
「俺は…バンパイアだ」
「え」
少し素っ頓狂な声を上げた後、すぐにマスターは笑顔になり、
「いらっしゃいませ」
と頭を下げた。
どこから入ったか…わからない学生服の男の子が、立っていた。
「俺を見ても驚かないとは…。あんた…やはり、人間じゃないな。魔か?」
六席のカウンター。四人掛けのテーブル席が、二つ。
決して広いとはいえない店内の真ん中に、空牙は立っていた。
「魔……?それは、どういう意味でしょうか…」
マスターは、空牙の横を通ると、カウンターの席を引き、座るように促した。
「フン」
空牙は鼻を鳴らすと、カウンター席に座った。
マスターは、カウンター内に入り、
「ご注文は?」
空牙にきいた。
空牙はカウンターで、右腕を置くと、
「コーヒーを。多分、それが…この店の売りだろ?」
カウンター内は、少し高くなっているのか…大きく見えるマスターを見上げ、微笑んだ。
「なぜなら、一番匂いがいい…」
「ほお〜それはそれは…ありがとうございます」
マスターは、軽く頭を下げた。
コーヒーを入れる用意をしだすマスターに、空牙は言葉を続けた。
「だから…わかるんだ」
空牙は、口元に笑みを浮かべながら、マスターの瞳の奥を覗いた。
「この世界の魔は、人と交ざりあってるからなのか…あまり匂いがしない。だけど…あんたからは、周りよりも強い匂いを感じた…」
「そうですか…」
マスターは、コーヒーを入れることに集中していたからか…空牙の視線をまともに、見ていなかった。
コーヒーを入れ終え、空牙の前に置く時、マスターはその視線の鋭さに気付き、
思わず動けなくなった。
「あなたは……」
マスターは、絶句した。
空牙から漂う雰囲気に、マスターは、今まで会ったどんな者よりも、圧倒的な力を感じた。
「あなたは…何者ですか?」
空牙は、前に置かれたカップを手に取った。
匂いを楽しむと、ゆっくりとコーヒーを飲む。
そして、空牙はマスターに微笑んだ。
「俺は…バンパイアだ」