天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
仰々しく
昼間でも、流れ星が落ちていく。

太陽の光が強烈過ぎて、見えないが…星は瞬き…闇は、世界をおおっている。

我々は、ただ一つの恒星に守られているだけなのだ。


「眩しい!」

朝の強烈な日差しに、目を細めながら、梓は歩いていた。

遠くに見える煙突が、異様だった。

男の子達は、喜んでいるようだけど…青い空に、黒い色を塗ろうとしている筆に見える煙突は、梓は嫌いだった。

(空を黒くするものは、嫌い…)

梓は、あの悪意が落ちた時、県の日本海よりの親戚の家にいた為に、死ぬことはなかった。

だから、黒い雨を見たことはない。見たとしても、まだ小さい時が、記憶には残らないだろう。


立ち並ぶ煙突を、復興の証と呼ぶ者もいたが…梓にはあの悪意と種類は、同じだと感じていた。

事実…数年後には、日本中を公害問題が起こることになる。


明るく見えるこの国の未来は、実は汚れていくことを…まだ梓は知らない。


梓が引っ越して来た町の隣は、新興の工業地帯であった。

高い建物がないため、煙突は近く見えるが…、

車や電車でないと、行くことはできなかった。

梓は、学校までの道を歩いていた。

国道は少し整備されていたが、まだまだ周辺の道路は、むき出しだった。


慣れない通学路は、少し高台を通っており…学校はさらに上にあった。

毎日、これは苦痛だなと、梓は心の中で、ため息をついていた。


少し出るのが、早かったのか…まだ梓以外、歩いている者がいない。

見上げると、数メートル上を走る通学路の上に、学校が見えた。

「拷問だ…」

梓は毒づきながらも、歩く足を早めた。

ちんたら歩くより、急ぐ方が、梓の性に合っていたからだ。



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