天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「赤星梓に…天道輪廻か…」

3年3組の教室内に、普通に座っている空牙の横に、1人の生徒があたふたしていた。

「あのお…雷君…。ここは、僕の席じゃあ〜なかったかな?」

勇気を出して、おそるおそるきいた男子生徒に、空牙は微笑んだ。

「君は、隣のクラスじゃなかったかい?」

空牙の瞳に見つめられた男子生徒は、びくっと体を震わせると、

大袈裟に手を叩くと、

「そうだ!隣だった!ご、ごめん」

妙に顔を赤らめて、そそくさと教室を出ていった。


空牙はフッと笑うと、視線を前に戻した。



「――というわけで、これからみんな!彼女達と仲良くしてやってくれ」

担任は次の授業の為、教室から出ていった。


梓と輪廻は、それぞれ空いている席に座った。

(さて…どうしたものか…)

空牙は二人を観察しながら、次の行動を考えていた。

このまま…すぐに拉致してもいいが…。

(それでは…つまらん)




空牙が思案していると、扉が開き、次の授業を受け持つ先生が入ってきた。

一瞬、生徒かと見間違う程、おぼこい顔。

その先生を見たとき、空牙は少し顔をしかめた。


(これは…これは……)


そいつもまた…人間ではなかったのだ。


教壇の前に立った…顔の割に、少しツンとした印象を与える女教師。

白を基調としたスーツに、薔薇のブローチをつけた女教師は、真っすぐに前を向いたまま…動かない。

その間に、生徒達は、起立礼…着席をすます。



(この中に…いるのか)

真っすぐに前を向いているが、悟響子は心の中で、生徒達の心を探っていた。


(姫は…わかっている)

他の者には、わからないだろうが…この国の人ならざる者なら、わかる。



はずなのに……1人わからないのが…いる。

響子はゆっくりと、梓の近くに座る輪廻の方を見た。

(何者だ?)

響子が輪廻の方を見ると、その後ろで、軽く手を振って、愛想を振りまく空牙がいた。

(綺麗な人だ)

空牙の心の声を聞いて、響子は思わず顔を赤らめて、視線を一瞬、外した。

その様子を見て、空牙は心の裏で、笑った。

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