天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
数時間、ただ真っ直ぐ走っていると、遠くの方に街が見えた。

深夜なのに、明るい人工的な光は、

もしかしたら、人間が住む街こそ、この地球にとって魔界ではないのかと…僕に思わせた。

「あの街が、大陸への入り口だ」

いつの間にかナビに、魔物反応も消えていた。

ロバートはハンドルを切り、街とは少し離れた場所を目指す。

「近くで、テントをはる」

光に包まれたドームのような街の横を、車は走る。

1分もしないうちに、目の前に広大な闇が、月と街の明かりに照らされて、輝いていた。

「海…」

右に曲がると、海岸線の国道に入る。

僕は少し顔を上げ、車から海を眺めた。

最近、嗅いでなかったが、紛れもなく潮の臭いだ。

「着いたよ」

車を止めたロバート。

僕はドアを開け、外に出た。

手を広げても、足りない程…海は大きい。

車は国道を外れ、岩場の多い草むらに止まった。

眼下に、砂浜が見えた。

砂浜までは、結構な段がある。

何もない海。

右に顔を向けると、

少し離れたところに、港があった。

「あれが、大陸へ渡る為の港だ」

ロバートは、僕の隣に立った。

風は穏やかで、優しい。

その優しさは、汚染されていないからだと…気づいた。
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