天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「さあ!早く!」

輪廻の願いに、空牙は手を電気でスパークさせ…その手を顔の前に持ってくると、表情を隠した。

そして、輪廻にきいた。

「死ぬ…ではなく、これからも生きる道を選べないのですか?」

「それは、無理だ」

輪廻は即答した。

「なぜ?」

「おれは、死んでいる…死んだが…魂を捕らえられ、時の呪いとともに、この肉体にあるからだ」


空牙は、すべてを悟った。

「わかりました…」

空牙の手が、さらに輝く。

「あなたの願い…叶えましょう」

空牙は、天に手をかざした。

その姿に、輪廻の瞳から涙が流れた。

「悲しいのではない…。なぜだろ…とても、嬉しい」



「雷…空…牙!」

夕焼けの空に似合わない…雷鳴が轟いた。



「立派になって…」

消滅する刹那、輪廻は愛しそうに、空牙を見つめ、笑いかけた。



「さよなら…」

空牙は、消えていく輪廻に、頭を下げた。


「母さん…」



そのまま、崩れ落ちた。


夕陽もなくなり……夜が…月だけが…空牙を見守っていた。

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