天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「まあ〜あのラルが、相手じゃ〜仕方がないかあ」

笑みを抑えながら、ネーナは両手を頭の後ろに回し、マリーに背を向けた。

「クッ!」

マリーは限界だった。

気高い性格が、これ以上の侮辱を許さなかった。

マリーの手から、鋭い氷柱がネーナの背中を狙う。

「まったく〜」

呆れながら、頭に回していたネーナの腕から、鈎爪が伸び、

襲い来る氷柱を破壊した。

「これを、ラルにやったらよかったんじゃない」

くるりと反転し、ネーナはマリーに構えた。

「あんたとは、姉妹といえ!」

マリーは次々に氷柱をつくり、針の束のように、ネーナに投げつけた。

「ライバル同士!」

ネーナの鈎爪が炎を纏い、腕を回転させると、

炎の蛇となり、氷柱を噛み砕く。

「いずれは、どちらかが!」

マリーの手に、氷の細長いサーベルが現れる。

「王になり!どちらかが!」

ネーナは炎の蛇を身に纏い、氷柱を打ち壊すと、マリーへと突進する。

「消滅する!」

鈎爪とサーベルが、激しく火花と、霙を撒き散らす。

渡り廊下に咲く花たちは、燃え…そして、凍る。

「だけど!お父様は!」

「未だに、あの裏切り者を気にしておられる!」
< 112 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop