天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
何かが蠢き……何かが、中から食っている…肉体を…。

カレンは、剣をねじ込むながら、中西に囁くように言った。

「ピュアハートはね……斬るではなく、食うのよ」

クスッと笑い、

「斬ったものの能力を…そして、斬ったものの肉をね」

そういうと、カレンはピュアハートを額から、抜き取った。

中西の額に筒のような空洞が開いていた。


カレンは笑いながら、

「特別に見せてあげる…」

くるっと一回転して、呟いた。

「モード・チェンジ…」




中西は絶句した。目の前に自分と同じ姿をした魔物がいるのだ。

そして、ソニックブームを伴った二本の角が、音速をこえて、中西に突き刺さっていた。


断末魔をあげる間もなく、中西は消滅した。



体育館裏には、ピュアハートを右手に持ったカレンしかいない。

「……大した…能力じゃ…なかったわね」

カレンは、いつのまにか左手に持ったものを確認した。

そこに表示されるデータを見て、肩を落としていた。

「レベル50か…中途半端ね」

カレンは肩を落とした。




カレンが持っているのは…カード。それも、ブラックカードだ。

しかし、この前まで赤星やクラーク達が持っていたのは、デザインが違う。

それに、カードシステムが崩壊した今…カードが使えるはずもなかった。

だけど、カレンが持つカードは特別だった。

カードシステムをつくる前、ティアナが使っていたプロトタイプ。


普通なら、倒した魔物の魔力はカードシステムによって、防衛軍の塔に回収され、税金として一部を取られた後、ポイントという形で、倒した人に換金される。

そのポイントを使い、人々は魔法を使ったり、武器を召喚していたのだ。

プロトタイプは、システムの完成前に作られていた為、直接倒した魔物から、魔力を奪い、すべてを使うことが、できたのだ。

武器の召喚は、できないが。

カレンは、母から受け取ったプロトタイプカードを使うことにより、精霊と契約しなくても、魔力を使うことができるのだ。


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