天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
アートは、遺跡と結界の接点近くにいたので、正面に回った。

遺跡の入り口は、つねに開いていて、アートは中に入った。

遺跡内は、大きく2部屋にわかれており、最初の部屋には何もない。

ただ天然石で、作られた壁に囲まれているだけだ。

アートが入ると、最初の部屋に、12人の研究員がいた。

アートの姿を見て、12人は頭を下げた。

アートも頭を下げ、遺跡内の床に広げられた布の上に並べられた料理に、近づいた。

布の上に腰掛ける前に、奥の部屋に通じている扉を見つめた。

「向こうは開けれないの?」

ティフィンは、アートの肩の上に止まると、きいてきた。

「開けれるが…」

アートは座るのを止め、扉に近づいた。

石の扉に触れると、扉は自動で開いた。

すると、誰かが目の前に立っていた。

「え?」

ティフィンは驚いて、手で口をおおったが、アートは無言でその前に立つ者を見つめた。

それは、自分だった。



アートは、自分に向かって、前に出た。

向こうも前に出て、二人は重なり、扉の向こうにいたアートが、こちらの部屋に入ってきた。

すると、扉は自動で閉まった。

アートは軽く息を吐くと、まだ扉の前にいるティフィンに振り返った。


「空間を歪めているんだろ…。中には入れない」

アートはもう一度、扉を開き、

「中に入る為には、遺跡そのものを破壊するしかない」

貴重な遺跡を、破壊することはできなかった。 

防衛軍がある時に、破壊する計画もあったようだが…世界をわける結界のバランスや、構造がわからない為、実行はされなかった。


だから今…遺跡に本格的な調査が、なされることになったのだ。 


「だが…破壊はできない。中にも入れないが、それでもここのシステムを、学ばなければならない」



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