天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「どういたしますか?」

ラルは、何もない空間に跪いていた。

「ほおっておけ」

球体の部屋。

上も下も、右も左も…感覚がない空間に浮かぶ…玉座。

そこに座っているのは、

魔王ライであった。

闇の中…表情も、姿もわからない。

佇んでいても、伝わる魔力が…重力のように、この空間に入ったすべての者に、干渉していた。


「しかし…女神達が、探している物は…」

「ヴァンパイア・キラーか?」

ラルの言葉を遮り、

ライがうっすら笑いながら、こたえた。

ラルは目を見開き、さらに頭を下げた。

「は!その通りで、御座います」




「ククク…」

ライの嬉しそうな笑い声が、聞こえてきた。

思わず顔を上げたラルに、

「心配しなくてよい…。今は、ヴァンパイア・キラーは…存在していない…まだな」

「存在?」

「あれは…お主らが、思っているようなものではない」

そう言ってから、ライは大笑いをした。

「あやつらでは、ヴァンパイア・キラーを手にすることはできん!ハハハハハ!」

ラルは頭を下げ、ただ深々と跪く。

「ましてや、今のアルテミアでは、たどり着くこともできぬわ!」

一瞬…暗闇に、ライの赤い眼光が光った。

不気味な程。
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