天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
骸骨の兵士も…骸骨の怪鳥も…もういない。

レイの居城にいく為に渡らなければならない…湖だけが残っていた。

石を積み上げたような不気味な城も、半分が消滅しており…何もない城の内部を露呈していた。

僕は、湖のそばに立ち、辺りを伺った。

僕が、降りたことはわかってるはずだ。

なのに、着地と同時に、気配が消えていた。

「あれだけの強化な気が…消えるなんて…」

城の方を見ようと、振り向いた瞬間、

僕は吹っ飛んだ。

「うっ!」

声を出せない程の激痛が、腹部を襲った。



「な…なんだ…」

僕には見えなかった。だけど、明らかに、蹴られたのだ。

あまりの痛みに、片膝をついた僕は、蹴られた辺りを凝視した。

「赤星!」

アルテミアが叫んだ。

「な、なんだと!」

誰もいないと思っていた空間を、意識して集中的に見つめると……

僕はやっと見ることが…いや、認識することができた。

そこに立つ人物を。

僕は、乱れた呼吸を整えながら、立ち上がった。

ある種の達人は、自分がいることを…自分の存在すらも認識させないことができるという。

そばにいてもだ。

そいつは、僕がこの地に降り立った時から、そばにいたのだ。

そして…やっと、蹴られたことにより、何もない空間に存在を探す行為をして、僕は見つけることができたのだ。

「バイラ…」

僕は、体勢を整え…バイラと対峙することができた。

「久々だな?少年……いや」

バイラは口元を緩め、

「赤の王よ」



「バイラだと!?」

ピアスからのアルテミアの驚く声がスイッチになり、僕は戦闘モードに切り替えた。

(こいつは、手強い!)

今まで感じたことのない…不気味な雰囲気に、僕は最初から全力で、いくことを決めた。

片手を前に突き出して、僕は呼んだ。

「チェンジ・ザ・ハート!」



二つの物体が飛んできて、僕の手におさまるはずだった。


バイラは、にやりと笑うと、同じく片手を突き出した。

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