天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「何?」

僕はピアスの中から、絶句した。

チェンジ・ザ・ハートが、巨大な砲台を連想させるライフルに変わったのだ。

バスターモード。

それは、僕専用のモードだったはずだ。

バイラはすぐに、引き金を弾いた。

「てめえが昔!自分で言っただろが!」

放たれた雷鳴と炎の光線を睨みながら、アルテミアは銃口に向かって飛んだ。

「こいつは、接近戦向きではないと!」

長い銃身を避けると、アルテミアの体が、変わる。短髪で黒のボンテージ姿になる。

ストロングモード。

格闘専門の肉体に変わったアルテミアの膝蹴りが、バイラの脇腹にヒットした。

しかし、今度はヌンチャクへと、形を変えたチェンジ・ザ・ハートが、アルテミアの背中を強打した。

「クッ」

予想外の攻撃に、顔をしかめながら、アルテミアは水がなくなり、クレーターのようになった地表へと、落下していく。

「アルテミア!」

僕の心配気な声に、アルテミアは笑った。

「心配するな」

地表に激突する寸前、体を捻り、激突の衝撃を拡散する為に、まるでダンスのように、地表を跳ねて、アルテミアは見事に着地した。

そして、ストロングモードを解き、普段の流れるようなブロンドと、透き通る白い肌…青い瞳の輝く小顔を、空中に浮かぶバイラに向けた。


「なるほど…」

空中から、鉄球を落としたように、バイラが地表に降り立った。

アルテミアの姿を観察し、

「バンパイアの力を使わずに、人間にチェンジしたか…」


シャイニングソードのつけた傷は、バンパイアの体にしか効果はない。

同じ体を共有する僕とアルテミアだが、血は流れることなく、止まっていた。

ふくよかな白い胸には、うっすらと傷が残っているだけだ。

「とっさに、それに気付くとはな…」

バイラはフッと笑うと、

「坊やとは…経験の差か」

アルテミアを冷ややかな目で、見つめた。


「しかし!人の身で、我らに勝てぬことは、経験済みのはずだが…」

バイラは、頭上で槍を一回転させた。

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