天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「フン」

今度は、アルテミアが笑った。

バイラをにらみ、

「一体…いつの話をしている」

アルテミアは少し…腰を下ろした。そして、左足を少し前に出し、体を斜めにした。

「人は、成長するのよ。バンパイアと違ってね」


「ほざくな!」

バイラは、チェンジ・ザ・ハートを二つにわけた。

「いつから、あたしにタメ口をきくようになった?」

アルテミアは、呼吸を整える。

「いつまでも、天空の騎士団の女神のつもりだ!」

バイラは、二つの物体をクロスさせると、

「人に拘るならば!かつて、希望の象徴だった剣で、死ぬがいい!」

ライトニングソードに変えた。


勇者ティアナが持ち、魔王と戦った武器…ライトニングソード。

ティアナは、アルテミアの母である。

ライトニングソードを見ても、アルテミアは動揺しないで、微笑んだ。

「武器が……希望になるわけじゃない!」 

アルテミアの髪が、ブロンドから…エメラルドグリーンに変わっていく。

「それを振るう…人間の思いが、心が!希望を生むんだ!」

アルテミアの右手に、ドラゴンキラーが装着される。

そして、アルテミアはそのまま、マラソンのスタートダッシュのように、バイラ向けて、飛び出した。


「馬鹿が!」

バイラも飛び出した。 

「そんなありふれた武器が!ライトニングソードにかなうか!」

バイラとアルテミアは、一瞬と接近し、刃を交えた。

笑うバイラの顔が……凍り付いた。

簡単に折れると思ったドラゴンキラーが、ライトニングソードと競り合っているのだ。


「あり得ん!」

目を見開くバイラに、アルテミアは笑った。

「当たり前だ!この剣に、どれほどの思いが詰まっていると思うか!」

アルテミアは、じりじりとライトニングソードを押し返す。

「てめえなんかが、握るライトニングソードは……」

アルテミアはにやっと口元を緩めると、

「軽るすぎるぜ!」

ライトニングソードを弾き返した。


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