天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ジェーンは、アートに微笑みかけた。

「再びあなたとお会いできるとは、思ってもおりませんでしたわ」

「私もだ…」

目が慣れてくると、部屋の様子がわかってきた。

一面が、まるで真珠のように真っ白だ。

床の表面も滑りやすく、降り立った瞬間、バランス感覚が悪かったら、転んでいただろう。


ジェーンは、玉座から立ち上がった。

そして、アートに近づいて来るが、足を動かしていない。

両足が、壁から浮いているのだ。

そんなジェーンを、ただ冷たく見つめるアートに、ジェーンはまた微笑んだ。

「あなたに、会いたく思っておりましたよ」


「下らん」

アートは一言だけ、口にした。

ジェーンは悲しそうにアートを見ると、視線を下に落とした。

「久々にお会いしたというのに…」

「君は、打算的だ。私への気持ちも、愛情よりも、利用価値で決めている」

「そんなことは…」

ジェーンは、顔を背けながらも、後ろで控えていたソリッドに、目で促した。

ソリッドは頭を下げ、王の間から消えた。


そのやり取りに気付き、アートは目を細めた。

(相変わらずか…)

心の中で、フッと笑うと、アートはジェーンの横を通り過ぎた。 

「大層なことを」

目の前ある玉座に、回し蹴りを食らわした。

しかし、足は玉座の中を通り過ぎた。

「ホログラフか?それとも」

アートは振り返り、

「さっき、私と目が合った時、脳に投影したか?」

ジェーンを睨んだ。

ジェーンは、アートに体を向け、

「会いたかったのは、本当です。あなたが欲しいことも」

また笑いかけた。

「貴様!」

「昔、あなたの呼掛けに答えなかったのは、謝ります。だって…あたしの予言では、ノーマル人はみんな殺されるとでたから」

「チッ」

アートは、ブラックカードを取出した。

「無駄よ。ここは、あなたの力を計算してつくってある。魔法…そして、得意の体術でも破壊できないわ」

「ジェーン」

アートはジェーンを睨んだ。

ジェーンは、アートを見つめ、

「あなたなら、わかってくれているはずよ」

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