天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「君はどこまで!」

歯軋りをするアートを、ジェーンはただ見つめ、

「あなたは、ノーマル人と共にいるべき人間ではないわ」

アートはブラックカードを握り締めたまま、

「かつて、君はカードシステムを知りたくて、我々に接近してきた。一学者として、その能力は素晴らしく、カードシステムの発展に大いに尽くしてくれた。しかし!」

アートの言葉の続きを、ジェーンは話しだす。

「ティアナの裏切り…ブラックカードというバグ。そして、安定者の中に、内通者がいた。そんな組織に、いつまでもいることの方がおかしいわ」

「クッ」

ジェーンの言葉に、アートは言い返せなかった。

確かにその通りだ。

ジェーンは、言葉を続けた。

「その後、クラーク・マインド・パーカーが、安定者達の粛正の後、異世界の人間をこの世界に導きましたが…さらに世界を混乱させただけ」

言葉なく睨むアートに、ジェーンは苦笑し、

「そうでしたね。その時のことは、ご存知なかったですね」

「だがな」

アートは、ブラックカードを人差し指と中指で摘むと、

「それで、人々は学んだのだ。この世のことわりを!」

アートは、何かを召喚しょうとしたが、魔法は発動できなかった。

何か強い力で、妨害されていた。

「サイコキネッシスか…」

首を絞められ、空中に浮かぶアート。

「かつて…最強といわれた三人の勇者がいた。雷鳴の勇者ティアナ・アートウッド、影狩りの勇者クラーク・マインド・パーカー、そして…あなた」

「ウググ…」

きつく絞まっていく首を止めることができない。

「ジャスティン・ゲイ!ホワイトナイツ最後の1人!」

ジェーンの目が輝き、さらに力をいれる。

しかし、ある一定の食い込みから、アートの首はびくともしない。

「なぜだ!岩をも砕くあたしの念力が、通用しない」

「フッ」

焦るジェーンに、アートは笑いかけた。

「いや…君の力は凄いよ。気を抜くと、折れそうだよ」

アートの首が盛り上がる。

「鍛えているのでね。首を絞められたぐらいで、死ぬようじゃ…この世界を守れない」 

アートは、ブラックカードを指に挟んだ。

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