天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「魔法を使う気?生憎だけど、この部屋の壁は魔力を反射させる。あなたのどんな攻撃も無駄よ」

ジェーンの言葉に、アートは笑った。

「魔力は、使わんよ」

アートは左手に持つブラックカードで、自らの胸を切り裂いた。そして、右手の人差し指と中指を傷口に突っ込むと、

顔をしかめながら、肋骨を一本取り出した。

そして、それをブーメランのように投げた。

「なに」

あまりの出来事に、唖然としたジェーンの横腹を肋骨が殴打した。

その瞬間、床に降り立つと、ブラックカードを胸にかざした。

傷口は、塞がった。

「なんて男!」

ジェーンは両手を前に突き出したが、

アートは真後ろに回り込んでいた。

「本当の絞めを教えてあげよう」

アートは、ジェーンを、スリーパーホールドを極めた。

「君は、いや、君達は、人間であるのに、なぜ我々を毛嫌いする!同じく力を合わせれば…」



「相変わらず…甘い」

「な!」

ジェーンの体から現れた光球は、全身を包むと、アートを弾き飛ばした。


異様に滑る床に、アートが転がっていく。

「極めた瞬間、落とせたものを」

ジェーンは、ゆっくりと振り返ると、全身を包んでいた光球を、指先に縮約させた。

「あなたは、人に対して甘すぎるわ」

アートは立ち上がり、ジェーンを見つめ、

「私は、人の未来を守る為に存在する!私だけじゃない!ティアナ先輩も、クラークもそうだった」

「裏切り者と敗北者が、どうやって人を守るか」

ジェーンはせせら笑った。

「ティアナ先輩は、裏切ったのではない!魔王に、人の命の尊さを教えたかったのだ!クラークは、人の未来を模索し、後継者にすべてを託した」

アートは、ブラックカードを額にかざした。

「我は、二人が残した勇者とともに戦わなければならない。それが、ホワイトナイツ最後の1人!ジャスティン・ゲイの使命だ」

「戯言を!」

ジェーンの指から、光の矢が放たれた。

「モード・チェンジ!」

ジャスティンは光を睨みながら、叫んだ。

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