天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
(斬れ)
と命じたはずだったカレンの体は、思考と逆こうして、後ろへと走りだしていた。
先程カレンの横を通り過ぎたサラマンダーは、カレンの住む町を燃やし尽くしていた。
逃げるカレンは、自分の家が燃えているのを見て、
やっと意識が体とシンクロした。
「お母さん!お父さん!」
カレンは、ブラックカードを取り出すと、炎に包まれた家の中に、テレポートした。
すべてが燃え尽きようとしている家の中で、夕食が並んでいたであろうキッチンのそばで、母親と父親は倒れていた。
「お母さん!」
母親を抱き起こすカレンに、炎に包まれている父親が言った。
「なぜ、戻ってきた!早く…逃げろ…」
それが最後の言葉となり、父親は灰と化した。
「可憐……。これを…」
母親は、何かを持っていた。革のケースだ。
「ここに…あなたを導く…道が…」
母親は、ケースを無理矢理カレンに押しつけると、手に隠し持っていた魔法の棒をカレンに向けた。
「あたしの娘…生きて…」
灰になる寸前、母親の手から光が出ると、その光はカレンを包むと、強制的にどこかへ飛ばした。
「お母さん!!!」
カレンの絶叫も虚しく、強制的に飛ばされた場所は、町から遠く離れた島――西表島だった。
自然の美しい砂浜に、降り立ったカレンは砂浜に、崩れ落ちた。
サラサラな砂を握り締め、嗚咽のような声を上げて泣き叫ぶカレンを、慰める者はいなかった。
ただ母親に最後に渡されたケースが、押し寄せる波に打たれていた。
「あたしは、また…守れなかった」
ブラックカードを確認し、再び町に戻ろうとしたが、足が震えていた。
両親の死のショックと同じくらいに、先程の魔物の恐怖が、体にこびりついていた。
それを拭おうとするが、すぐには拭えない。
立ち上がろうとして、足がもつれ、倒れたカレンの指先に、ケースがあった。
「母さん…」
カレンは、ケースを手にして、引き寄せた。
そして、最後の母親のメッセージを読むこととなる。
と命じたはずだったカレンの体は、思考と逆こうして、後ろへと走りだしていた。
先程カレンの横を通り過ぎたサラマンダーは、カレンの住む町を燃やし尽くしていた。
逃げるカレンは、自分の家が燃えているのを見て、
やっと意識が体とシンクロした。
「お母さん!お父さん!」
カレンは、ブラックカードを取り出すと、炎に包まれた家の中に、テレポートした。
すべてが燃え尽きようとしている家の中で、夕食が並んでいたであろうキッチンのそばで、母親と父親は倒れていた。
「お母さん!」
母親を抱き起こすカレンに、炎に包まれている父親が言った。
「なぜ、戻ってきた!早く…逃げろ…」
それが最後の言葉となり、父親は灰と化した。
「可憐……。これを…」
母親は、何かを持っていた。革のケースだ。
「ここに…あなたを導く…道が…」
母親は、ケースを無理矢理カレンに押しつけると、手に隠し持っていた魔法の棒をカレンに向けた。
「あたしの娘…生きて…」
灰になる寸前、母親の手から光が出ると、その光はカレンを包むと、強制的にどこかへ飛ばした。
「お母さん!!!」
カレンの絶叫も虚しく、強制的に飛ばされた場所は、町から遠く離れた島――西表島だった。
自然の美しい砂浜に、降り立ったカレンは砂浜に、崩れ落ちた。
サラサラな砂を握り締め、嗚咽のような声を上げて泣き叫ぶカレンを、慰める者はいなかった。
ただ母親に最後に渡されたケースが、押し寄せる波に打たれていた。
「あたしは、また…守れなかった」
ブラックカードを確認し、再び町に戻ろうとしたが、足が震えていた。
両親の死のショックと同じくらいに、先程の魔物の恐怖が、体にこびりついていた。
それを拭おうとするが、すぐには拭えない。
立ち上がろうとして、足がもつれ、倒れたカレンの指先に、ケースがあった。
「母さん…」
カレンは、ケースを手にして、引き寄せた。
そして、最後の母親のメッセージを読むこととなる。