天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
カレンが住んでいた都市は、炎の竜の攻撃により、人が建物が、動植物が、

差別されることなく、灰と化した。

半径数百キロにおけるすべてのものが、なくなったのだ。

その速さ、約2分。

その2分で、約三十万の人間が死滅した。

遠くの海など、肉眼で見えるほど何もなくなった焼け野原に、一人立つ猫耳の女。

「キャハハハ」 

まだ焼けた臭いが漂う土地の上で、女は楽しそうに笑った。


「あんた…やりすぎじゃないの?」

猫耳の女の前に、空中から1人の女が降りてきた。

青い髪を束ねた女は、細身で折れそうなウェストをしているが、その雰囲気は氷のように冷たい。

青い髪の女は、両手に凍り付いた四人の女をまるで紙袋のように、指先で引っ掛けて持っていた。

「灰にしたら…食べれないじゃない」

青い髪の女は、凍り付いた四人の内一人を、猫耳に投げた。

猫耳は、鉤爪で凍り付いた女を串刺しにした。すると、氷が溶け…意識を取り戻した女が痛みの為に、絶叫した。

「フン」

猫耳は、泣き叫ぶ女の首筋に噛み付き、血をすすった。

数秒で、干物のようになった女を投げ捨てると、

猫耳は青い髪の女を睨み、

「人など腐るほどいる!今は…」

猫耳の背中から、蝙の羽が二枚飛び出した。

「アルテミアを殺すことが、先決だ」


「そうね」

青い髪の女は、持っていた三人を捨てた。凍り付いた三人は、まるで硝子細工のように、地面にぶつかると、粉々になった。

「お父様に、復活したあたし達の力を見せなくちゃならないわ」

青い髪の女も、蝙の羽を広げた。


猫耳の女は、炎の女神ネーナ。

青い髪の女は、水の女神マリー。


二人は空中に浮かび上がり、

「アルテミアの居場所はわかるわ」

「姉妹ですもの」

二人の女神の両目が、赤く光ると、

まるで流星のように一瞬で、日本から離れた。

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