天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「母さん…」

ケースを開けたカレンは、その中にあった手紙を読んでいた。

その手紙は、最近書かれたものではなく、

カレンが養子に来て、程なく書かれていた。

内容は…。


養父母はもともと、アートウッド家に使える魔術師であったこと。

いずれ、別れが来ることを予言していた。

そして、その時が来たとき…会わなければならない人がいると……。


古い文字の下に、最近書かれたメッセージがあった。


(カレン様。あなたのお力が、目覚めてきており、その力を試す為に、奥様からお譲りになられたピュアハートを、使っていることを、私達は知っておりました)


「母さん」

カレンは、手紙を持つ手が震えた。

(だけど…ピュアハートは諸刃の剣。扱い方を間違うと、あなたの身をも滅ぼします。だから、あなたは会わなければならない。ピュアハートを正しく扱うために。あなたを私達に託したお方に…)


手紙の最後には、その人物の名が書かれていた。


「ジャスティン・ゲイ……?」

その名前に、カレンは絶句した。



勿論知っていた。

ホワイトナイツの1人。

おばであるティアナ・アートウッドとともに戦った…伝説の勇者である。

(あなたの持つカードと、あの方の持つカードは、繋がっています。あなたが、この場所に来た時、あの方が迎えに来ます)


手紙を読み終わった瞬間、顔を上げ、振り返ったカレンの目の前に、男が立っていた。

まるで、気配を感じさせることなく。

「君が…カレンか?」

男は、優しくカレンを見つめ、

「最後に会った時は、まだ小さかったのにな」


カレンは、その人物を知っていた。

忘れていた記憶が、甦ってくる。

「封印が解けたかな?君の記憶は、少しいじっていたからね」

男はカレンに手を伸ばし、 

「ジャスティン・ゲイだ。よろしく」

握手を求めた。

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