天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「お前がそう言うなら、好きにしろ」

アルテミアはフッと笑った。

僕はカルマの方に体を向け、

「行きましょう。あなたの国へ」


僕の返事に、カルマは顔を上げ、笑顔を見せてから、再び頭を下げると、

ゆっくりと立ち上がった。

「では早速ですが…失礼します」

カルマは僕に近づくと、腕を首に絡めてきた。

「え!」

離れていた時はわからなかった豊満な胸が、僕の胸に当たった。

僕の思考を読んだのか、アルテミアの怒気が直接脳に 響いた。

「ち、ちがう!」

と弁解する暇もなく、僕とカルマはテレポートした。



次に、テレポートアウトした時、僕はカルマの胸ぐらいで、慌ててる場合ではなくなった。

何もない玉座の間に、降り立った僕とカルマ。

カルマはすぐに、僕から離れ、後ろに下がると、静かに跪いた。



「そなたが、有名な赤の王ですか?」

五段くらい上にある玉座に座り、僕を見下ろす人物を見た時、

僕は目を疑った。

「な!?」

それは、あり得ない顔…姿だった。

「馬鹿な」

そっくりな別人とか思った。

だが、違う。

声が、気が、そして容姿が…すべてが、似っているのレベルを超えていた。


「明菜!!!」

僕は、絶叫した。


「そういう意味です。赤の王よ」

後ろに控えたカルマが、表情を隠しながら言った。

「お、お前ら!明菜を王にしたのか!」

僕は振り返り、カルマを見た。

「違います!」

玉座に座っていた明菜が立ち上がり、僕を冷たい目で見下ろしながら、

「この体の脳を支配しました。故に今、この体の支配者は、わたくし…ジェーン・アステカです」

明菜の黒い眼球の色が違う。淡い茶色になっていた。

「明菜に何をした!」

僕は、明菜の姿をしたジェーンに叫んだ。

「新しい依り代にしただけです」

ジェーンは、明菜の顔で笑った。

「貴様あああ!」

僕は、ジェーンに向かってジャンプした。

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