天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ジェーン様!」

飛び掛かる僕の背後から、攻撃しょうとするカルマの背中を、チェンジ・ザ・ハートが飛んできて、激しく殴打した。

「なに!」

背中をくの字に曲げ、倒れるカルマの脇から、チェンジ・ザ・ハートは飛んできて、僕は手で掴んだ。

ライトニングソードになったチェンジ・ザ・ハートを、ジェーンに向かって、振り上げる。

「フン」

ジェーンは両手を僕に向け、サイコキネッシスを発動させたが、ライトニングソードは念力をも切り裂く。

「貴様!」

怒りで我を忘れた僕は、ジェーンを切り裂こうとする。

「こうちゃん」

ジェーンの瞳が、黒くなり…哀しげな表情を浮かべる明菜の顔になる。


「あき――なっ!」

その表情に、心を許した瞬間、僕の体は自由を失い、空中で磔になると、

そのまま意識を失った。


「フフフ」

ジェーンは笑った。

ライトニングソードが、床に落ちた。

「あなたの弱点は、わかっていた。その優しさ!精神の弱さよ!」

空中で両手を広げられ、まるでイエスの如くうなだれて浮かぶ僕を、ジェーンはゆっくりで念動力で、そばまで手繰り寄せる。

「あなたは、これから…我がアステカ王国の尖兵として、働いて貰います。魔王を倒すまでね」

ジェーンは微笑みながら、僕の頬に手を伸ばそうとした。

その時、うなだれていた僕は顔を上げ、瞳を血よりも赤く輝かせた。

「モード・チェンジ」

口が動き、そこから発せられた声は、僕の声ではなかった。

「!?」

ジェーンは目を見開き、思わず後退った。

僕の左手の薬指にはめられた指輪から、光が溢れた。

「クッ」

ジェーンはもろに、光の洗礼を浴びた。

「ジェーン様!」

カルマはとっさに、ジェーンと赤星の間にテレポートした。

その瞬間、弓なりに曲がったしなやかな右足が、カルマのこめかみにヒットした。

吹っ飛び床に転がるカルマを見ようともせず、光の中から現れたのは、アルテミアだった。

「て、天空の女神…」

カルマは、脳が揺れて立ち上がれなくなり、超能力を発動もできない。

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