天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
アルテミアは天井を次々と、突き破り、飛び出た先は海だった。

(海底か)

いきなり海中に入ったアルテミアはともかく、美奈子の息が続くはずがない。

口を塞ぎ、何とか溺れないようにしている美奈子に気付き、

アルテミアは、六枚の翼を広げると、翼で体をラクビーボール状に包むと、回転し…予想だにしない動きで、海中を流れ星のように進んでいった。

ただし、落ちるではなく、上昇だ。


深さはわからなかったが、翼で包む瞬間、眼下に海溝が広がっているのが見えた。


アルテミアは海中から飛び出すと、六枚の翼を広げた。

真上にある月に照らされて、広げた勢いで飛び散った水滴がキラキラ輝いていた。


アルテミアは月を見上げた後、抱き抱えている美奈子の様子をチェックした。

(外傷はないか…)

美奈子は、気を失っていた。

どうやら、海底からここまで上がってくるあまりのスピードに気を失ったみたいだ。

人はあまりに衝撃的なことがあると、自らの自衛本能で、気を失うことがあるらしいが…。

今回は、違った。

「寝てるのか?」

どうやら、アルテミアに助けられ、安堵したようだ。緊張の糸が切れたが、真相のようだ。

「しばらく寝てなかったようだな」

何日捕まったのは、知らないが、その間寝ていないようだ。

明菜を助けだすことはできなかったが、可能性はできた。



無防備に寝る美奈子の顔を見つめながら、アルテミアはある疑問が気になった。

(どうやって、この世界に来たんだ)

美奈子や明菜に、時空をこえることができるとは思わなかった。

確かに、明菜の次元刀は空間を切り裂けるが、この時空がどこにあるか、わかるはずがない。


(誰か手引きしたか?)

アルテミアは、翼をはばたかせると、その場から離れた。

(それに…テラ?)

アルテミアは、美奈子が部屋に会われた瞬間、そう呼ばれたことを覚えていた。

(テラとは…あのテラなのか?)

アルテミアはまだ、テラが二人いたことを知らなかった。




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