天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

若き女神

蝙の羽を広げ、あたしは天を駈けていた。

天空の女神であるあたしを、遮るものはない。


「お待ち下さい」

数多くの翼ある魔物が、あたしを追い掛けてくるが、追い付く訳がない。


空は、あたしのものだから。



天空の女神アルテミアは、他の女神より、圧倒的に若い。

さらに、人間とのハーフということも、

数多くの魔神から不信感が沸き起こったが、

その美貌ではわからない凄まじい力は、騎士団長達も黙るしかなかった。



あたしは、その世界で一番高いというエベレストの山頂に立った。 

そこから、世界の風景を眺めながら、あたしはほくそ笑んだ。

「あたしはいずれ、お父様の跡を継ぎ、魔王になる」

その後、含み笑いをし、

「お姉様方には、悪いけど…」

二人の姉…マリーとネーナは、属性も違うし、物凄い力を有しているが、

あたしには勝算があった。

「お母様に、あれを教えて貰ったら…」


あたしの母親…ティアナ・アートウッドは人間であるけど、お姉様方をも凌駕する力を持っていた。

それは、モード・チェンジ。

各種属性に変化できる…その能力を、あたしはほしかった。



だから、城に帰ってから、お母様にあたしは頼んだ。

教えて欲しいと。

だけど、お母様は意外な言葉を、あたしに浴びせた。

「あなたには、早すぎるわ」

いつも優しいお母様の冷たい口調に、凍り付いた。


こんなお母様を初めて見たから。


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