天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
僕は…
朝の眩しい光が、僕を包んだ。

学校への道を歩いていく僕と、すれ違う自転車や車。

だだっ広い一本道をとぼとぼ歩いている僕に、苛ついたように、後ろからクラクションが鳴った。

僕の隣を通り過ぎた…無駄に大きい外車の窓から、二十歳ぐらいの男が睨む。

僕はその男を、横目で見送りながら、

苛立ちもむかつきも覚えず、ただ呟いた。

「平和か…」

空を見上げても、ドラゴンもいない。

この道の先に、魔物が待ちかまえてるわけでもない。

僕は、道の端で足を止めた。

なぜか、違和感を感じた。

(今…僕は…)

太陽の眩しさも、街の喧騒も、

平和なのに、どこか疲れた大人達も、

自分と同い年の学生も、

今の自分とは違う。

「やらなくちゃならないんだ…」

僕は、学生達の流れとは逆を走り出した。


(僕は…逃げてた)

登校する生徒達をかき分け、僕は全力で走る。

「赤星君」

僕の目には、生徒達も映らない。

憧れの矢崎絵里が、横を通っても。




家へ帰る途中、

幼なじみの明菜の家の前に来ると、僕は足を止め…頭を下げた。
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