天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「今の…力は?」

突き上げていた小指を下げると、サラは月を見上げた。



「派手にやったな」

いつのまにか、サラの後ろにギラがいた。

サラが破壊した跡を見て、ギラは肩をすくめて見せた。

「そこまでの…相手だったとは思えないが」

ギラの言葉に、サラはフッと笑うと、目を細めた。


「ギラよ」

月を上げたまま動かないままで、サラは声をかけた。

「何だ?」

抉れた地面を見ていたギラは、サラの方に顔を向けた。

サラは見上げたままで、言葉を続けた。

「月にいるあやつの波動を感じた…」

「月の?」

ギラは眉を寄せた後、笑って見せた。

「ハハハ!何を言っている。あやつの波動など、感じるはずがあるまいて!あやつは、月に封印された後、ライ様を恐れ、決して表は出てきてはいない。今さら、安全な月からどうして、こちらに干渉する必要があるんだ」

「そうだな」

ゆっくりと、サラは月から目を離した。

「それに、あの女が人間に力を貸すとは思えん」

ライが造った最古の魔神であるサラとギラは、一応…月に封印されている女神を知っていた。

魂だけの存在とされ…数千年も月に閉じ込められている女神。

「そうだな」

サラは一応納得すると、目をつぶった。

それから、すぐにその場から消えた。


「サ、サラ?」

ギラは止めようとしたが、間に合わなかった。

サラに向かって、伸ばした手を下ろした。

「相変わらず…置いていくな」


ギラは声なく笑うと、気になったのか月を見上げた。

「封印は解けていないな」

一応月を確認した後、ギラはサラを追跡すると、サラを追うためにテレポートした。


どこに向かうかは、まだわからなかったが。


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