天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「私は、この国を護ります!」

カルマの言葉に、ジェーンはゆっくりと首を横に振った。

「種族としての限界が来ている。外の人間と交わり、子を作らなければ…アステカ王国の未来はない」

「他と交わってしまえば!アステカ人にあらず!」


「だったら…」

ジェーンは、自らの胸をぎゅと握りしめ、

「私は、アステカ人ではないわ」


「あ…」

ジェーンの言葉に、カルマは絶句した。

そうだ。

明菜の肉体を奪ったジェーンは、アステカ人の体ではない。

カルマの反応に、ジェーンは悲しく微笑んだ。

「その通りよ。私は、もうアステカ人ではないのよ」




「そ、それは…」

カルマは無意識の内に、ジェーンから後退った。

「私は…ただの…」



「ただのなんだ?」


突然、玉座の後ろから声が聞こえてきた。

「!?」

驚いた2人が振り返ると、

玉座の背もたれに、後ろからもたれて、腕を組むアルテミアがいた。

「天空の女神!」

アルテミアの姿を認めた瞬間、カルマはテレポートすると、アルテミアの死角に現れ、サイコキネッシスを発動しょうとした。

「な!」

手を突きだしたカルマの前に、アルテミアがいない。

「超能力が、万能だと思うな」

逆に、カルマの死角に現れたアルテミアの手刀が、カルマの首筋を強打した。

崩れ落ちるカルマ。一撃で、気絶した。


「カルマ!」

駆け寄ろうとするジェーンに、アルテミアの殺気が飛んだ。

「な!」

ジェーンの足がすくみ、動けなくなった。

「自分らの都合で、明菜の肉体を奪っておいて!自分は、アステカ人ではなくなっただと!」

アルテミアの瞳が、赤く輝いた。

「人の体を弄んでおいて!悲劇を気取るな!!」

アルテミアの怒気が、アステカ王国を揺らした。


「ジェーン様!」

玉座の間に、ソリッドや側近達がテレポートしてきた。

アルテミアの姿を見つけ、ソリッド達は絶句した。

「て、天空のめ、女神!どうやって、ここに!?」

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