天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「い、いや…」

ジェーンは、テレポートで逃げようとしたが、

ライトニングソードの刃が肌にはりつき、能力が発動できない。

アルテミアはゆっくりと、握る手に力を込め、ライトニングソードを押した。

首筋に少し食い込んだ刃に、すうと血が流れた。

冷静に、ジェーンの動きに注意しながら、アルテミアはライトニングソードを押し込んでいく。

本当なら一気に、首を跳ねることは可能だった。

しかし、冷静を装いながら…アルテミアの心は揺れていた。


(明菜!)

なぜならば、目の前にあるのは、まごうことなく明菜の体だからだ。

そんなに親しかった訳ではない。

ただ一度、一言二言話しただけだ。

だけど、それだけで…心を通わすことができた存在であった。

同じ男を愛する女として。



(赤星に殺される前に…あたしが一気に!)

アルテミアは心の中で、目を瞑った。

そして、明菜の首を跳ねようとした時、

アルテミアの手を誰かが掴んだ。


「よかった…間に合った」

力強い腕とは逆に、ほっと安堵の息を吐いたのは、ジャスティンだった。

「お、お前は!?」

気配さえ感じさせずに現れたジャスティンに、アルテミアは驚いた。

「少し寄り道をしたが…何とかギリギリだったな」

ジャスティンは、アルテミアの腕の下から肩を入れると、強引にジェーンから引き離した。


「ジャスティン…」

ジェーンの頬に、涙が流れた。

「どうして、ここに!?」

少しふらついたが、体勢を整えたアルテミアは、ジャスティンを見た。

ジャスティンは、ジェーンを見つめながら、

「アステカが、赤星君を狙っているのは知っていた。だが、どのような手を使うのかわからなかった故、前回招待された時に、盗聴器を仕掛けておいた。玉座の裏にね」

「盗聴器だと!?」

ジャスティンの登場で、心が乱れているジェーンに変わって、アルテミアがきいた。

「魔力を使ったものは、さすがに感知されるだろうが…」

玉座の裏からは、魔力を感じない。

「機械…つまり、科学を使った単純な物は、気付かない」


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