天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ジャスティンが仕掛けた盗聴器は、赤星の世界のものと似ていたが、深海にあるアステカから声を受信できることから、かなり高性能であった。


「それに、この国は長年潜んでいた為に、防犯システムが甘い」

ジャスティンは、アルテミアを目だけを向け、

「今…お前が、やろうとしていたことがわかっているのか?」

「ク!」

アルテミアはライトニングソードを下ろし、ジャスティンから顔を背けた。

「今のジェーンは、赤星くんの幼なじみの体を使っている。彼女を殺せば、赤星くんがどんなに悲しむことか、わからないはずがあるまいて」

その言葉に、アルテミアは体を震わせると、ジャスティンを睨んだ。

「だが!こいつは、乗り移ったとか操っているではない!明菜の脳に、直接この女の記憶と思考を植え付けたんだ!」

アルテミアはライトニングソードを構え直すと、ジェーンに向けた。

「アルテミア…」

「赤星は、こいつに手を出せない!明菜の体を使っているこいつには!だから、また!あいつが苦しむ前に!いや!もうあいつは、苦しんでいる!」

アルテミアは、一歩前に出た。

「あたしは、あいつの為に…この世界の為に戦うあいつの負担を、軽くしたい!だから…あたしが、殺すしかないんだ!」

アルテミアの決意の強さと切ない思いにに、ジャスティンは目を見開いた。

(あの女神が…男の為に…)

ジャスティンは、アルテミアの変化を知った。

(いつのまにか…人の痛みを知る…女になったのか)

ジャスティンは、アルテミアの成長に感慨深くなっていたが、

今はそんな場合ではない。

だからこそ、止めなければいけない。

(悲しみを自ら…背負うことのできる者。それも…愛する男の為に…愛する男の幼なじみを斬ることができる者に…それは、絶対させてはいけない!)


ジャスティンは、アルテミアとジェーンの間に割って入った。

(そのような者は、背負うだけで…悲しみを癒すことはできない!いつまでも、悔やむ!)

ジャスティンは、アルテミアを見つめ、

(なぜなら…その者は、優し過ぎるからだ)



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