天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「な!」

一瞬のことだったが、状況を理解したジャスティンはすぐに、戦闘モードに入った。

プロトタイプブラックカードを発動させた。



「そうだ…。最初から、こうすれば、よかったのだ」

突きだした拳を握りしめ、ライは歓喜に震えた。そこには、アルテミアの血がついていた。




「ライ!」

digシステムになり、黒い結界を纏ったジャスティンは、死角から、ライの顎先に拳を叩き込んだ。


「そういえば…いたな」

ライの口元が、緩んだ。

「何!?」

渾身の一撃がヒットしたのに、ライはびくともしない。

「我が女の周りを飛んでいた…蠅がな」

ライは横目で、ジャスティンを睨んだ。

ただそれだけで、ジャスティンの体は吹き飛び、

玉座の壁を突き破った。


他の部屋を繋ぐ通路に、転がったジャスティンは、唖然としていた。

「馬鹿な…。これ程とは」

体を覆う結界が、一瞬で砕けていた。

「核の直撃にも耐える…digの装甲が」

元の姿に戻ったジャスティンは、すぐさま立ち上がろうとした。

「しかし…まだまだ終わらん……!?」

ジャスティンは絶句した。

全身に、力が入らない。

指一本も動かすことが、できなかったのだ。


「馬鹿な…」

鍛え抜き、数多くの死線を潜り抜けてきたジャスティンの体が、ライの睨みだけで動かなくなったのだ。

「あり得ない…」

ジャスティンは、冷たい床の上で、ただ寝ることしかできなくなった。




「最初から、こうすれば…」

ライは、アルテミアをぶっ飛ばしてできた壁の穴を見つめ、

「弱き存在を気にかける必要など…なかったのだ!」

瞳が赤く染まっていく。

「我は神!創造者なり!一度壊した者も、再生できるわ!」


ライの指先から、無数の光が放たれると、

それは壁をすり抜け、アステカ王国で活動している人々に襲いかかった。

それは、一瞬だった。

アステカ王国の人々の命が、刈られたのは…。

ほんの数秒で、アステカ王国は崩壊したのだ。


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