天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
嬉しそうなサラの表情に気づき、ギラは、首を捻った。

「少し用ができた。すぐに、戻る」

サラは、そう言うと、蝙蝠の羽を広げ、山頂から、下界に向けて、降りていく。

「サラ!勝手に、持ち場を離れるんじゃない」

ギラが制そうとしたら、後ろから、声がした。

「好きにさせてやれ」

バイラは、指輪から視線を離さずに、口を動かした。

「しかし、今は」

ギラの言葉を遮るように、

バイラは、明菜を抱きかかえると、その場から、背を向けて、歩き出した。





「どいつも、こいつも」

ギラは、ため息をつくと、両手を組み、1人、

臨戦態勢に入っていた。



ギラの脳裏に、アルテミアの姿が、浮かぶ。

巨大な蝙蝠の羽を広げ、圧倒的な魔力で、防衛軍が送り込んだ勇者達を、

指先1つで、皆殺しにするアルテミア。

後ろで、控えるギラ達は、その魔力に、震えが止まらなくなっていた。

自分達に向けられていないことは、わかっていても、恐怖は拭えなかった。

(ギラ)

それに気付いたのか....アルテミアは、勇者の首筋に噛みついたのをやめ、

ギラの方に、振り返った。
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