天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「こうちゃん…来てくれたんだ」

明菜は、微笑んだ。

「フン!」

ライは、明菜の背中から胸を貫いていた腕を抜いた。

不思議と、血が出なかった。

明菜は足から、床に落ちると、操り人形のように足から崩れた。


「明菜!」

僕はよろけながら、明菜に駆け寄った。

抱き上げた明菜の顔に、生気はなかった。


「なかなか…美味であったぞ」

どうやら、ライに血を吸われたらしい。

「やはり…人間の血は美味い」

ライにとって、久々の食事だった。


「こうちゃん…」

明菜は、真っ白な腕を伸ばし、僕の頬に触れた。

「ごめんなさい…。いつも迷惑かけて…」

「な、何を言ってる」

「駄目な…幼なじみだった…迷惑ばかりかける」


「明菜!もう話すな」

謝る明菜に、僕はすべてが泣いた。


「だ、だから…せめて…」

明菜の体から、剣の柄が飛び出してきた。

「最後は…あなたの力に…」

明菜は、僕に微笑んだ。

その優しい笑顔を浮かべたまま、

明菜は生き絶えた。



「うわあああ!」

僕は叫びながら、明菜の体から剣を抜くと、

ライに斬りかかった。


ライは、鼻で笑った。


「!?」




僕の手にある剣は…


真っ二つに折れた。

「次元刀…」

ライは僕を見下ろし、

「空間は斬れても、我の肉体に傷一つつけれないとはな」



折れた刃は、床に突き刺さった。

「ライトニングソードは!シャイニングソードはどうした!」

ライは手刀を作ると、振り上げた。

「フッ」

今度は、僕が笑った。

「そんなものがなくても、お前に僕は負けない!」


「ほざくな!」

「今のお前には!力をただふるうだけのお前なんかに!」



ライの右腕が、僕の胸を貫いた。

「何だというのだ?」

ライは、勝利を確信した。

「言ったはずだ」

僕は吐血しながら、笑った。

「負けないとな!」

その瞬間、左手の指輪が光った。

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