天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
永遠の傷を刻む
「やあ…よく来たな」
立て掛けの悪い…グレーの扉を開けると、九鬼に向けて、笑顔が向けられた。
兜又三郎…。別名マッドキャベツ。
ここは、化学準備室という名の隔離室である。
大月学園別館の一番奥にある部屋は、薄暗くじめじめしているような印象があったが、
そんなことはなかった。
さらっとした空気が、肌に心地よい。
兜いわく、
ここが、一番月の光を集め易いそうだ。
「闇に近いから、危険ではない。太陽の光は、闇を隠しているだけだ。こういう場所の方が、逆に闇を防ぐことができる」
「失礼します」
一礼して、部屋に入った九鬼に、兜は苦笑した。
「君は…変わったな」
キャベツのような髪型をした兜は、一見抜けているように見えるかもしれないが、
その眼光は鋭く…白衣で隠された肉体は傷だらけであった。
兜は、手に持っていたコーヒーカップの中身を啜ると、ポットを九鬼に示した。
「結構です。まだ学業中ですので」
真面目な九鬼の言葉に、兜はまた笑った。
「そう言うと、思ったよ」
コーヒーカップを、書類でおおわれたテーブルの隙間に置いた。
「昔の…君を知ってる者からすれば…闇から、光に変わった程の衝撃を受けるだろうな」
「あたしは…闇の中にいただけです。それは…胎児と同じ…」
少し距離を取り、兜に近づいた九鬼を、じっと兜は無言でしばし見つめた。
九鬼もそんな兜を見つめながら、兜の言葉を待つ。
内容は予想できた。
だけど、九鬼は待った。
兜は、テーブルに置いたコーヒーカップをまた手にすると、
ごくりと一口…喉を鳴らして飲んだ。
その数秒後、兜は口を開いた。
「闇の居場所を突き止めた…」
「どこです?」
間髪をいれずに、九鬼はきいた。
そんな九鬼の瞳を覗くように見つめた後、
兜はため息とともに、言葉を続けた。
「今回は…この学園ではない」
立て掛けの悪い…グレーの扉を開けると、九鬼に向けて、笑顔が向けられた。
兜又三郎…。別名マッドキャベツ。
ここは、化学準備室という名の隔離室である。
大月学園別館の一番奥にある部屋は、薄暗くじめじめしているような印象があったが、
そんなことはなかった。
さらっとした空気が、肌に心地よい。
兜いわく、
ここが、一番月の光を集め易いそうだ。
「闇に近いから、危険ではない。太陽の光は、闇を隠しているだけだ。こういう場所の方が、逆に闇を防ぐことができる」
「失礼します」
一礼して、部屋に入った九鬼に、兜は苦笑した。
「君は…変わったな」
キャベツのような髪型をした兜は、一見抜けているように見えるかもしれないが、
その眼光は鋭く…白衣で隠された肉体は傷だらけであった。
兜は、手に持っていたコーヒーカップの中身を啜ると、ポットを九鬼に示した。
「結構です。まだ学業中ですので」
真面目な九鬼の言葉に、兜はまた笑った。
「そう言うと、思ったよ」
コーヒーカップを、書類でおおわれたテーブルの隙間に置いた。
「昔の…君を知ってる者からすれば…闇から、光に変わった程の衝撃を受けるだろうな」
「あたしは…闇の中にいただけです。それは…胎児と同じ…」
少し距離を取り、兜に近づいた九鬼を、じっと兜は無言でしばし見つめた。
九鬼もそんな兜を見つめながら、兜の言葉を待つ。
内容は予想できた。
だけど、九鬼は待った。
兜は、テーブルに置いたコーヒーカップをまた手にすると、
ごくりと一口…喉を鳴らして飲んだ。
その数秒後、兜は口を開いた。
「闇の居場所を突き止めた…」
「どこです?」
間髪をいれずに、九鬼はきいた。
そんな九鬼の瞳を覗くように見つめた後、
兜はため息とともに、言葉を続けた。
「今回は…この学園ではない」