天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
再戦の絆
「なんだと?誰かが、結界を破っただと!」

長い楕円形の机に、ずらっと並んだ幹部連中。

一番奥に座っているのは、ここの防衛軍の最高司令官…責任者だった。

38度線から数10キロ離れた…半島でも、一番栄えた町の外れに陣を移した…防衛軍の本部は、騒然としていた。

町は、1ヶ月以上も軽いパニック状態になっており、脱出しょうという人々で、ごった返していた。

しかし…逃げようにも、海には魔物が大量発生しており、

空に逃げようにも、相手は天空の騎士団である。

空が一番、危険だった。

一番近くの日本へ逃げようにも、海を渡る軍艦でさえ、辿り着く船は少なかった。

「袋の中の…鼠ですな」

本部の水晶玉から、町の様子を透視していた参謀の1人が、溜め息をついた。

「ハハハハハハ!」

突然、大きな声で笑いだした者がいたので、作戦会議室にいた者達は、一斉に聞こえて来た方を見た。

それは、防衛軍の大佐だった。

「ここは終わりだよ!」

その言葉に、司令官は苦虫を噛み潰したような顔になる。

「ゴホン」


軽く咳払いをしてから、司令官に報告しにきた兵士に顔を向け、改めてきいた。

「誰が、結界を突破したのだ?」

兵士は、背筋をピンと伸ばし、

「もとブラックサイエンスの…」
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