天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
画面に映る孫を見ながら、才蔵は心の中で、悔やんでいた。

しかし、そんな気持ちを表には出すことはない。


「今の人間も、殺しを生業にしている!例え、魔獣因子を持ったなくても!そんな者を殺して、なぜ悔いなければならない!」

だからこそ、強気に出て、才蔵は叫んだ。

「…」

兜は何も言えなくなったが、代わりに口元を緩めた。

そして、もう一度九鬼を見た。

顔だけなら、幼い少女だ。

(しかし…)

兜は、いつのまにか…唇を噛み締めていた。

そんな兜の心を読んだかのように、才蔵は言った。

「月の雫を得る為だ!」


才蔵の言葉に、兜ははっとした。

「も、もしや…先生は」

「そうだ」

才蔵は肯定の言葉で、兜の言葉を遮った。

「だが…それ以上は、口にするな」

才蔵は横目で、兜を見つめ、

「闇が見ている」

これ以上の詮索を止めさせた。


兜も、口を閉じた。

今のやり取りで、兜は…才蔵の目的を知った。


その件に関して、もっと聞きたかったが、

兜はあきらめた。

もう夜…

闇の時間だからだ。



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