天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「やはり…」

乙女イエローは口元に笑みをたたえながら、鋭い爪を伸ばし、路地裏に突進した。

「乙女ソルジャー同士は、引き合う!」

建物の影に隠れていた乙女ソルジャーの色が、わかった。

「グリーンかあ!」

狭い路地裏に入るとすぐに、2つの光のリングがジグザグに、軌道を読ませないように、飛んできた。

「馬鹿め!」

イエローの変身が解けると、人間に戻ったと思った刹那、

黒い鎧に被われた姿になった。

光のリングは、その鎧に跳ね返った。


「月と魔!そして、人間の!安定者の知識を持つあたしに、勝てるかよ」

光のリングが消えると、また乙女ソルジャーになった。

「お前らは!あたしの糧になれ!」

イエローの正体は、佐々木神流。

もと防衛軍の最高機関…安定者の1人にして、

魔獣因子が目覚めた女である。


信じられない程の跳躍力を見せると、

神流はグリーンの頭上から、攻撃を仕掛ける。

「死ね!」

包丁の刃を下に向けると、グリーンを頭から突き刺そうとした。




グリーンは逃げることなく、頭上を見上げた。

グリーンの眼鏡の表面に光の膜ができ…盛り上がると、

光線を発射した。



「な!」

空中では、足場がない為、よけれない。

テレポートしょうにも、間に合わなかった。

光線は、神流を直撃した。


「くっ!」

神流は、全身に力を込めた。

すると、グリーンの眼鏡にできた膜と同じ光が、神流の全身を覆った。

地面に、着地した時には…グリーンはいなかった。


「この光の扱い方を知らなければ…やられていた」

全身から煙を発しているが、戦闘服の表面が焼けただれているだけだった。

グリーンの光線も、神流の体を守った光も…ムーンエナジー。

月の光である。

出力が違ったが、何とか最小のダメージですんだ。

神流は変身を解くと、人間の体に戻った。


「逃がしたか」

神流は、グリーンの気を探ったが、気配を感じることはできなかった。



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