天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
乙女レッドのスカートは、異様に短い。

原作のテレビ番組では…攻撃の度に、パンツが見える為、

恥じらえば恥じらう程…怒りパワーが無限に上がる戦士として、描かれていた。




「やはり…雑魚だな」

女子生徒はため息をつくと、火の玉と化した乙女レッドの蹴りを避けることなく、見上げた。


「すべての攻撃のバランスが、悪過ぎる」


「うりゃあああ!」

声を張り上げて向かってくる乙女レッドの蹴りを、体を横に反らすだけで避けると、

「滞空時間が長いし…」

女子生徒の両腕が消えた。

「弱点をさらししている」


梨絵が床に着地した時には、乙女レッドではなくなっていた。



「え」

自分の身に起こったことが、信じられない梨絵の前に、

女子生徒がいた。

その手には、赤い眼鏡を持っていた。

「…だから、雑魚なの。わかった?」

「な!」

目を見開く梨絵の首筋に、女子生徒の手刀が放たれた。

一撃で、気を失った梨絵をもう見ることなく、

女子生徒は九鬼とリオの方を見た。




「クッ!」

「チッ!」


顔をしかめながら、床に着地した九鬼と、

舌打ちしたリオが床に手をついた。


何とか、リオのドロップキックを撃墜したが、

九鬼には時間が残っていなかった。

着地とほぼ同時に、乙女ブラックの変身が解けた。


「はははは!」

リオは立ち上がると、笑い出した。

そして、九鬼の方を見ると、

「どんなに強くても!無限の時を得ているガーディアンには、勝つことはできない」

リオは両手を広げながら、九鬼に近付いていく。

「九鬼真弓!大人しく、乙女ケースを渡せ!」


「断る!」

九鬼は、生身の体で構えた。

「だったら、殺して…奪うのみ」

リオが襲いかかろうとした瞬間、

九鬼の前に、女子生徒が割って入った。

「乙女ソルジャー…乙女ガーディアン?まだ謎があるようね」

梨絵から奪った眼鏡を、指先にぶら下げながら、

女子生徒は含み笑いを浮かべた。

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