天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「待て!」

屋上から去ろうとする女子生徒に向かって、リオが叫んだ。

女子生徒は足を止めた。


リオは眼鏡を取ると、スーツ姿に戻った。

そして、女子生徒の背中を睨んだ。

「あなたの名前は?」


女子生徒は決して、振り向くことなく、

「山本可憐」

名乗ると同時に歩き出した。


「山本可憐!」

リオははっとした。

屋上から、カレンが消えるまで、その後ろ姿を睨み続けた。

「あのジャスティンの推薦の…生徒!」

苦々しく言ったリオを見つめた後、

九鬼は走り出した。

カレンを追って。




九鬼が扉を開けた時には、もうカレンの姿はなかった。


「山本…可憐」

九鬼は、下へ続く階段をただ見つめた。


(彼女は一体…)

一瞬だけ垣間見せた…その実力は、底が見えなかった。

九鬼もまた…階段を降り出した。

新たなる戦いの予感を感じながら…。

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